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こんにちは

中島隆太|  ミネソタ大学ダルース校美術学部教授。東京生まれ、レバノン、スイス、アメリカ、日本で育つ。1997年カルフォルニア大学視覚芸術学部修士課程を修了。帰国して東京芸術大学大学院美術学部油画科に研究生として所属。2019年に九州大学芸術工学府にて博士号を取得。アーティスト以外にプロダクトデザイナー、キュレーター、真言密教の僧侶としての幅広く活動をしている。2010年から琉球大学並びにOISTの客員研究員としてイカタコの行動生態を研究し、2015年に沖縄のサンゴ礁保全を目的とした活動「Okinawaa Seaside Laboratory」をスタート。2022年に世界初のアオリイカ累代飼育10世代をOISTにて達成している。

ストーリー

KWAHUU OCEAN CEOの中島隆太です。

 

僕は、東京の下町足立区で生まれました。父方は真言宗豊山派の瑞応寺というお寺です。僧侶であった祖父は、成績が優秀であったため大きな寺院の跡取りとなるべく養子としてこの寺に入りましたが、芸術が学びたいと親には内緒に帝国美術院(現在の東京芸術大学)に進学し、高村光雲や横山大観の弟子となり彫刻を学びました。祖父が記録した高村光雲の講義録が帝国美術院初の彫刻科初めての教科書だったと聞いています。母方は、政治と実業家の家庭で、こちらの祖父は衆議院議員として何年も国政の携わり、沖縄返還時の日米琉の交渉や日中和平交渉を実現しました。また、足立区に袋会社を営んでおりましたから、国政と経営との二足の草鞋で毎日忙しくしていました。宗教・芸術・政治、そしてビジネスが揃った非常に稀な環境だったと思います。

 

生まれてすぐに、会社勤めだった父の仕事の関係でレバノンに移り、そこで幼少時代を過ごします。僕の初めての言語はアラビア語だったそうです。4歳の時に内戦が始まり、銃弾飛び交うベイルートの街で家族6人生活していましたが、父がゲリラに拉致され拷問を受けた事をきっかけに帰国を余儀なくされました。隣の家が爆破され真っ黒こげになったことやバルコニーから見る戦場の夜景がまるで花火大会の様だったことを良く覚えています。

 

帰国後、数年日本で教育を受けた後、中東やヨーロッパを転々としスイスの高校を卒業後に単身アメリカのカルフォルニア大学サンディエゴ校に進学。そこで、前衛作家であったアラン キャプローやフランス人映画監督のジャン ピエール ゴランに前衛芸術や哲学を学びました。カリフォルニア大学大学院を卒業後、一時帰国し、東京芸術大学大学院で研究生として在籍しながら真言密教の修行を行い阿闍梨となります。東京芸大在学中に、ミネソタ大学美術学部の助教授に就任し本格的な作家活動をスタートさせ、ニューヨーク、パリ、ロンドン、東京、ロスアンジェルス、ホノルル等世界各地で展覧会を開催しています。その後、ハワイ大学美術学部助教授を経て現在ミネソタ大学ダルース校美術学部にて教授となり芸術活動を続けています。

 

15年前ほどからイカの行動生態に興味を持ち科学の道に進みます。名だたる頭足類研究者を世に送りだしてきたテキサス大学医学部頭足類研究所であったNRCCにて「イカと人間の共感」をテーマにイカ語の解読の研究を開始。その後、琉球大学理学部頭足類研究にて共同研究をスタートさせ、2017年から沖縄科学技術大学院大学にて研究を継続しています。これがきっかけです、2019年に、頭足類のボディーパターンの研究で九州大学大学院芸術工学府にて上岡玲子先生のご指導のもと博士号を授与され、芸術、宗教、そして科学と三足の草鞋を履くことになります。2025年には、国際頭足類諮問会議のオーガナイザーとして、世界各地から頭足類研究者を沖縄に招き頭足類研究の発展を多角的促すために動いています。

 

数年前から、イカ学の研究者の杉本親要博士と岡本光平博士と「頭足類研究所」が沖縄にできないかということで、シンポジウム等を開催しプロジェクトをスタート。当時沖縄県の街づくりの仕事をしていた久場麗美さんと出会い。彼女のサポートを得、「Okinawa Seaside Laboratory」をスタートさせました。このプロジェクトでは、イカタコだけでなく、沖縄県における、貧困問題、大戦後まだ癒えない大きな傷跡、コロニアル文化の負の遺産、政府との間の摩擦、埋め立て依存型の県経済等々大きな社会問題点解決のために活動を続けています。現在では、SNSのフォロアー数1万4千人にまで増やし美術と科学の両面から活動を続けています。

 

2022年に、OISTミラーユニットのメンバーとして、アオリイカの累代飼育世界記録更新に成功。モデル動物としてイカタコを使うには、安定した人工下の飼育が絶対条件でした。行動生態としても脳神経学的にも非常に面白いイカタコですが、その飼育は非常に難しく多くの科学者達がこれにチャレンジし失敗してきました。この壁を乗り越えるために、チームが試行錯誤しこの記録を破ったことは、これからの頭足類研究にとっての大きな一歩だったと考えます。また、この数年間で得た経験と技術が、イカの養殖という未知の領域のドアを開け、多くの人々の後押しもあり、KWAHUU OCEAN 代表取締役として就任することを決意しました。宗教・芸術・科学の道をあるき、自然と直接に関わることができる漁業にたどり着いたことを感謝するとともに、この新しい一歩がさらなる社会貢献につながるように、これからも試行錯誤を続けていきたいと考えています。


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